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2016年10月25日 (火)

数年ぶりに、日本でこの男に会ってきました。森安洋史31歳。日本ではプロ経験がなくオーストラリアへ渡り、AリーグのSydney FCと契約、Sydney FCで2シーズン、そしてJ2の岐阜で2シーズンを過ごした後に引退した彼は現在、大阪で英語&スポーツを交えた教室を運営しています。

パシオーレ イングリッシュ

無名でオーストラリアへ渡り、オーストラリアの名門クラブであるSydney FCでプレー、そして逆輸入という形でJリーガーになる事ができた森安。シドニー空港に到着時から、州リーグでの活躍、そしてSydney FCとの契約からSydney FCでの2シーズンを全て見てきた宮下が、森安が肌で感じたJリーグとAリーグの違い、そして海外で森安が成功する事ができた秘訣を聞いてみました。

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――AリーグとJリーグの違いについて。

【森安】AリーグとJリーグを比べた時に、僕がプレーしたチームに関して言うならば、チーム全体で戦う意識と、走るという部分では、J2のほうがあったと思います。僕がプレーしたFC岐阜というチーム自体が、J2でも戦力的に下の部類に入るチームだったという事もあり、このチームのディフェンスに関してはストイックにみんな一丸となって頑張っていました。AリーグでプレーしたSydney FCに関しては、チーム全体で組織として戦う意識よりは、一対一での対人の強さ、球際では絶対に負けないという気持ちが半端じゃなかったですね。

――そこの一対一の激しさという部分が、一番大きな違いって事かな?

【森安】Aリーグの球際の強さというのは、Jリーグとは比べ物にならない位、激しいものがありましたし、審判のファールを取る基準も違いましたね。

Aリーグでデビューをしたばかりの頃は、僕は明らかにファウルだろうと思って倒れて、にやりと思って審判のほう見てたら、審判は知らん顔でプレーオンみたいな事も結構あって、いや、イエローカードだろ、と心の中で思いながらプレーしてたんですけど、そこの基準の違いというのは、日本に戻ってJリーグでプレーしている時に、強く感じました。

オーストラリアには、ラグビー文化が強いせいか、どうしても、男は強くなくてはいけない、簡単に倒れるなっていう雰囲気はありますよね。僕個人としては、オーストラリアでの基準でサッカーをする方が楽しかったです。簡単に何でもファウルをとってしまうと、ゲームも面白くなくなりますしね。

――よくJリーグの審判は、欧州を始めとする他のリーグの審判に比べて、笛を直ぐ吹いてゲームを止めるって言われているけど。

【森安】審判にもよりますけれど、基本的にJリーグの審判は、Aリーグの審判よりも笛をよく吹く傾向はあると思います。止めるときはとことん止められる。そんなんでいちいち止めるなよと思いたくなるぐらいに。

僕はオーストラリアのサッカーの、ちょっとやそっとで笛を吹かないスタンスのほうが好きですね。

メッシなんか見ても、明らかにファールまがいのタックルをされても、倒れずにプレーを続けるシーンをよく見ますが、やっぱり世界の一流プレーヤーはそういった部分での強さがないと、トップに立てないんだなと。僕自身、オーストラリアという舞台でですが、そのような審判があまり笛を吹かない環境でプレーできた事は本当に良かったと思いますし、最近は僕が日本で教えている子供達の試合の審判をする機会も多いですが、そういった試合でも、子供達に少しでも強さを見に付けてもらう為に、なるべく簡単には笛を吹かないように意識しています。

――オーストラリアでシドニーFCという名門クラブと契約出来たのは、英語でコミュニケーションが取れたという事もかなり関係があると思うけど、その辺はどう?

【森安】僕がシドニーFCと契約出来たのは、英語でコミュニケーションを取れたという部分がかなり大きいです。単純にサッカーの実力だけを見た時、僕より上手い選手なんてざらにいますが、そういった中、英語でのコミュニケーション能力と運、タイミングというものが上手く重なり合って、プロになれたと実感しています。

当時僕がシドニーFCの練習に参加した時に、外人枠がたまたま空いてたし、1人練習参加に来ていた選手も、シドニーFCが思っていた以上にパフォーマンスが悪くて結局はサインしなかったとか、そういう運だったり偶然とか、いろいろタイミングが重なって契約という結果には繋がりましたが、結局のところ、それも全ては英語ができたからこその話で、英語ができなければ、シドニーFCの練習にさえ行けていなかったと思います。

――英語ができた上での、運とタイミングが重なり合ってってことだよね。だから英語がなければもちろんシドニーFCとも契約できていなかったという事だよね?

【森安氏】多分、僕が英語が出来なかったら、オーストラリアとう選択肢はなかったかもしれないし、仮に行ってたとしても実力的には2部のチームに入れたらいいかなぐらいの、そこら辺が限度だったと思っています。オーストラリアの2部に入って活躍して、3か月後にはシドニーFCと契約までたどり着いたのも全ては英語ができたからと心底感じでいますし、それがなかったら今の自分ももちろんないですし、すぐ日本に帰ってきて違う仕事についていたと思います。

――要するに、英語ができたことによって人生が変わったってことだよね。極端に言えば。

【森安】そうですね。今ではオーストラリアにチャレンジに行く日本人が増えていますし、彼らの多くがプロ選手になりたいと思って行ってるから、それはそれで頑張ってほしいんですけれど、英語という部分での努力が不足しているがために、目標まで到達できない選手が多いと思います。

ただサッカーが上手ければなれるんでしょっていう考えはもう日本だけにして、海外ではそれだけでは通用しない、という事の認識から始まるべきだと思っています。もちろん、本田選手とか香川選手とか、あのぐらいのレベルの選手でしたら、言葉が多少できなくても技術で黙らせることはできるのかもしれませんけれど、でもガンバの宇佐美選手ですらドイツ行って1発目であんなに苦しんで帰ってきて、今2回目行って今も試合にほんの少ししか出れていないという状況が続いてるのは、何かサッカー以外のことに足りない部分があるんではないかと、どうしても思ってしまいますよね。

僕がどのような形で海外でやってきて、どうやって成功というか試合に出れたという事を考えると、レベルはもちろん違いますけど、そんなに言語というツールを甘く見ないほうがいいのかなって、つくづく宇佐美を見るたびに思いますね。

――逆に言えば、英語であったり外国語のコミュニケーション能力を上げていけば、海外でもプレーできる日本人選手が増える可能性もあるという事だよね?

【森安】今のプロに行けない高校生、大学生を見ても、サッカーが上手い子達はいっぱいいると思いますし、海外で通用する選手が発掘されてない、もしくは海外でプレーするルートがまだ十分ではないという事もあると思います。そして、自ら積極的に海外に行ってプレーしたいという子達が、以前に比べては増えてはいますが、まだそんなに多くないというのが現実で、その子達が自ら積極的に海外に目を向けた時には、海外でプレーする日本人選手はかなり増えてくると思います。ただ海外で契約できるか、そして試合に出て活躍できるかどうかいう部分は、英語でのコミュニケーション能力という部分が、僕の経験からしてもかなり重要となってきますね。

本田にしても長友にしても、会見をそこの言語でやるのかやらないで、向こうのメディアの受けも全然違いますし、今回、卓球の福原愛ちゃんの台湾でのインタビューでは、全メディアに対して全部台湾語でしっかり受け答えしてたのが好印象でした。僕はその文化に馴染もうとする気持ちはすごい大事なことだと思いますし、その為にはその言語が話せなと難しいと思います。

僕はシドニーFCとの契約会見も全部英語で行いましたし、そうする事でメディアやファンとの距離を少しでも縮める事が出来たと思っています。しかしながら、シドニーFCでプレーした三浦カズさんと比べられた時の質問には、ちょっと困りましたね。「カズさんのこと、どう思われますか?」どう思うって言われても…。結構それが難しい質問でしたね(笑)。

何回も言いますけど、言語と会話、コミュニケーション能力は、海外でサッカーチャレンジする上で、物凄く大切です。

――今の日本の英語教育について、どう思う?

【森安】今、小学校から少しずつやり始めて、中学校はもう英語のクラスがあって、先生が教壇に立って教科書持って、「This is a pen.」っていう…、一方的に先生が読んで子どもたちが聞くっていうようなインプットだけの授業がほとんどだと思うんですね。基本、中学校、高校英語というのは、高校受験だったり大学受験のための英語の勉強の時間を9割ぐらい費やしてるのではないんですかね。実際そこで会話力、コミュニケーション能力が果たして上達してるのかとなると、費やしている時間に比べて、その部分は上達しているとは思えませんね。

実は今、関西の某大学に行かせてもらっていて、英語関連の学部の生徒達と英語で話をすると、すごい難しい単語は知ってるんですよ。アメリカ育ちの僕自身も全然分からない、何言ってんのこいつ?と言うような単語を出してきたりもしますけれど、中学生ぐらいの単語を並べてカジュアルな会話をすると詰まってしまうんですよ。そんな難しい単語知ってるのに、この会話はスムーズに理解できないんだ、解釈するのに1分ぐらいかかったとなると、英語の勉強の目的がコミュニケーションの為のツールとなっていないんですよね。

頭の中にはびっしりと難しい単語が詰まっているのにも関わらず、それを適切な形で表現できない、相手に伝えられないとなると、全然意味がないんですよね。今まで彼がTOEICで900点仮にとったとしても、コミュニケーションが殆どできなければそれは一体どこに使うんだろうと思ってしまいます。特に、サッカーでのコミュニケーションという部分では、そのような点数は殆ど意味がなく、海外にサッカーしに行って、俺、TOEIC900点だから、って見せたところで、ああそう、でしかないんですよ。結局重要なのは、英語でどれだけ彼がコミュニケーションを取れるか取れないかだけの話ですので。

(このインタビューの続きは、オーストラリアへのチャレンジャーのみ、ご覧いただけます)

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Tim Cahillと競り合う森安。現在もオーストラリア代表でプレーする彼については、「ヘディングの滞空時間がビックリするほど長かった」

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オーストラリアに来た当時の草サッカーでの一コマ。後列一番左が森安。僕(前列一番左)もこのころは痩せていました(笑)。この3か月後、森安はSydney FCの一員として、ACL(アジアチャンピオンズリーグ)に出場する事に!

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NSW Premier LeagueのAPIAでの活躍が、サッカー新聞に大々的に取り上げられ、その直後、Sydney FCの練習に参加する事に。

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Sydney FCとの契約会見の模様。多くのメディアが詰めかけました。

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この森安のSydney FCとの契約は、サッカー新聞のトップ一面で扱われました。

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日本のメディアでもこの契約を報道。

ソーリー前山による、記者会見当日のレポート。

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Sydney FCでは通算36試合に出場し、2ゴールを記録。

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約3時間近く、昔の懐かしい話を交えながら、今後のビジネスについても森安と色々と話しを進めていきました。森安がインタビューでも強調していたように、海外のサッカーで少しでも上に行くには、サッカーの技術以上に語学力、コミュニケーション能力が重要になってくるという事で、今後は語学面でのサポートも、今まで以上に力を入れて行う予定です。

豪州フットボーラーズ